骨粗鬆症のある高齢者が転んでしまうと、骨折を起こしてしまうことがあります。
高齢者における骨折の好発部位には、上腕骨の付け根(肩関節)、手首の骨、大腿骨の付け根(股関節)、背骨の4つがあります。
この中で、大腿骨の付け根と背骨の骨折は、それによって立位を保つことが困難となり、その後の治療が長引くと、寝たきりになる可能性の高い骨折ですので、注意が必要です。  
骨折を起こさないためには、「骨を強くすること」も重要ですが、それと同時に、あるいはそれ以上に、「転ばない」ことも重要なことです。  
転ぶということは、身体が重力に負けて、立位を保てなくなったということです。
転ばないためには、重力に負けないための筋肉、「抗重力筋」を鍛えることが必要です。
主な抗重力筋を下から順番に挙げていくと、ふくらはぎの筋肉「下腿三頭筋」、太ももの前面の筋肉「大腿四頭筋」、お尻の筋肉「大殿筋」、背中の筋肉「背筋(脊柱起立筋)」となります。
これらを鍛える具体的な例を挙げてみましょう。

■ハーフスクワット 20回

壁の前に両足を肩幅に広げて立ち、壁に両手をついてください。この姿勢から、ゆっくりとしゃがんでみます。それほど深くまでしゃがみ込む必要はありません。膝が直角になるぐらいまでで結構です。できれば、1回に3~4秒かけるぐらいのつもりで、膝を曲げた姿勢を保ってみてください。

■爪先立ち 20回

両足を肩幅に広げた姿勢から、かかとを上げます。これもできれば、1回に3~4秒かけるぐらいのつもりで、爪先立ちの姿勢を保ってみてください。

■サイドキック 20回

両足を肩幅に広げた姿勢から、まず左足に体重をかけつつ、右の足を横の方向に蹴り上げます。
このときに膝が曲がらないようにします。
1回に3~4秒かけるぐらいのつもりで、ゆっくり上げて、ゆっくりと下ろします。
次に右足に体重をかけつつ、左の足を横方向に蹴り上げます。
これを左右交互に20回行います。

■バックキック 20回

先ほど横方向に上げた足を、今度は後ろの方向に蹴り上げます。
このときに膝が曲がらないように、またお尻の筋肉が緊張していることを意識します。1回に3~4秒かけるぐらいのつもりで、ゆっくり上げて、ゆっくりと下ろします。
これも左右交互に20回行います。

サイドキックとバックキックの動作には、片足で立つ動作が含まれます。
筋力訓練であるとともに、バランスを保つ訓練でもあります。
足を上げるときには、勢いをつけすぎて、バランスを崩さないでください。
転倒予防体操で転倒しては、元も子もありません。
必ず壁につかまってやってください。

言葉の説明ではピンと来ないかもしれません。
やり方の分からない方には、しっかりと指導させていただきます。どうぞ、ご来院ください。